3500-13-12-2-1

ツーリングの記録等に使おうと思っていたが。。。タイトルは最初の記事の3500km, 13日, 12ヶ国, 自動二輪, 空冷単気筒の意。

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過去記事ちょっと訂正

お題「イルカは害獣か?」
以前にこのような事を書いたのですが、

イルカがイカ漁の邪魔になったりするという話はあるね
イルカが局地的に問題になる
 
この話はVOWに載っていた新聞記事の見出しを鵜呑みにしたものです。「イカ食うイルカ、イカしておけぬ。殺してイーカ?」とかいうやつ。2番目の記事にある、ネイチャーニュースで言われているのは、南アフリカでオットセイが漁業と競合しているという事だけであり、イルカの話は私が報道を鵜呑みにして付け加えたものです。クジラ害獣論は俗論とさんざん批判したつもりだったのですが、私自身にもまだまだ甘いところがありました。

 海獣は比較的大型なのと、呼吸のために一定の時間間隔で海面に浮上してくる性質のため、人間からみて目立ちやすい存在です。従って、漁師がイルカやクジラが不漁の原因という印象を持ったとしても、それが本当かどうかを調べるのは水産庁や鯨類研究所など、研究者の仕事です。「少年犯罪が/凶悪犯罪が/外国人犯罪が増加している」という印象を現代の日本人が抱いていたとしても、それが必ずしも現代日本の現実とは限らないのと同様です。

 ではイルカが害獣であり、それを間引く事で漁獲の改善が見込めるというような調査研究は存在するのか?少なくとも、2006年ごろにはそのような証拠は存在しなかったと言えます。なぜなら、水産庁の森下さんの論文でもそのような記述が見あたらないからです。

Multiple analysis of the whaling issue: Understanding the dispute by a matrix
Joji Morishita, Marine Policy 30: 802–808 (2006)

より、関連部分を抜粋すると

An emerging issue in the science of whales is the role of whales in the ecosystem. When stomach contents were analyzed as part of the scientific whaling programs, it was found that baleen whales eat a large amount of commercially important fish [7]. Clearly, when conservation requires a reduction in fishing effort or the number of fishing vessels in order to realize the recovery of fishery resources, we need to consider whether the consumption of these resources by whales undermines such efforts. Fisheries management organizations including the United Nations FAO are increasingly expressing the need for an ecosystem approach to fisheries management [8].


文献7と8は以下の通り。7については以前、根拠薄弱とコメントしました。

[7] Morishita J, Goodman D. Competition between fisheries and marine mammals―feeding marine mammals at the expense of food for humans. In: Proceedings of the Third World Fisheries Congress, 31 October–3 November 2000, Beijing, Reprinted in: A New Focus for the International Whaling Commission. Published by The Institute of Cetacean Research, Tokyo. 2001.
[8] Food and Agriculture Organization of the United Nations, Report of the Reykjavik Conference on responsible fisheries in the marine ecosystem, Reykjavik, Iceland, 2001; FAO Fisheries Report No. 658. Rome. Report of the 24th session of the Committee of Fisheries, FAO, para.39, 2001.


 調査捕鯨の目的の一つは、競合の「可能性」を検証する事であり、競合が実証されたとは一言も言っていません。もし、イルカとイカ漁が競合しているのが事実なら、捕鯨サークルにとって大変重要な理論的根拠になります。そのような研究は水産庁としても奨励するでしょうし、中立的、科学的な観点からみても生態系解明に寄与する意味のある研究です。海獣の漁業に対する影響を調査する事には何の政治的障壁もないと言えるでしょう(調査捕鯨の口実なのだから)。それにも関わらず、少なくとも森下さんがこの原稿を書いた時点ではイルカやクジラが害獣であることの証明はなかったと考えられます。

 一方で動物愛護団体IFAWのパンフレットでは、ミナミアフリカオットセイとメルルーサ漁の間に競合関係がある事を認めつつ、しかしながらオットセイの間引きがかえって漁獲減少につながる可能性を示唆した論文を引用して、海獣の間引きに疑問を呈しています。

The effects of future consumption by the cape fur seal on catches and catch rates of the cape hakes. 4. Modelling the biological interaction between Cape fur seals Arctocephalus pusillus pusillus and the Cape hakes Merluccius capensis and M. paradoxus.
Punt and Butterworth, South African Journal of Marine Science 16: 255-285 (1995)

 論文を書く場合一般に、自説に都合の悪い先行研究を無視するのは許されず、それについてなんらかの釈明なり難癖なりをつけなければなりません。一方で自説を補強するのに都合の良い論文や事例を引用するのは当然の事です。複数の専門家を擁する捕鯨サークルですら、海獣が害獣であり、間引きが必要であるという説を支持する事例を見つけられなかったのです。それどころか、クジラもイルカも漁業とは競合関係にないという研究結果すらネイチャーのニュースで紹介されているのは既に何度かご紹介した通り。

Whales cleared of competing with fishermen
Global study declares suggested culls are unnecessary.
Amanda Leigh Haag
Published online 20 July 2004 | Nature | doi:10.1038/news040719-7

 イルカの漁業被害の報道はありますが、間引き論が科学的にも正しいと言うためには、1)イルカが漁業と競合している事、2)間引きによって漁獲の改善が見込める事、の二つを示さなければなりません。しかし、捕鯨推進大本営が総力をあげても条件の1)すら示せていないのです。クジラやイルカが害獣である事を証明できないのは、要するに、そのような事実が存在しないからでしょう。
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テーマ:捕鯨・反捕鯨問題 - ジャンル:政治・経済

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