3500-13-12-2-1

ツーリングの記録等に使おうと思っていたが。。。タイトルは最初の記事の3500km, 13日, 12ヶ国, 自動二輪, 空冷単気筒の意。

満足ですか?

 IWC科学委員会による2006年12月の時点での南極海調査捕鯨の評価はこのようなものであるらしい。

http://www.whaling.jp/press/press080107.html

2006年12月に、IWC科学委員会が日本の南氷洋調査捕鯨をレビューした際に、「調査のデーターは海洋生態系内の鯨の役割について調べる上で価値のある情報を提供しており、科学委員会や南極海洋生物資源保存条約のような機関に重要な貢献をする可能性がある」と結論づけている。科学委員会は1997年にも、調査の結果が「南半球のミンククジラの管理を向上させる可能性がある」としている。


 えーと、それだけなの?

 日本は南極海では1987/88年から2年間の予備調査、1989/90年からは16年間の本格調査とかなり長い期間調査しているわけでして、投じられた予算、捕殺したクジラの数ともにかなりのものになります。ところで税金をいかに無駄に使ったかが有能さの証となる官僚さん達と違いまして、私ども科学者に課された仕事には明確な成果が求められます。会社員の人もそうだと思いますが。製薬会社とかは特に。

 仮に、私の現在の雇用者のここ20年ばかりの研究成果について「今後の進化生物学の研究に重要な貢献をする可能性がある」とか言ったら彼は怒るんじゃないかな?少なくとも不満は言うと思いますよ。「もっと成果について具体的に言及しろよ!あと『可能性がある』ってのはどういう言い草だ、ちゃんと貢献してきただろ!」位は言うでしょう。日本の調査捕鯨はよくも悪くも注目されていますし、その点IWCのスターなわけで、そのスターの成果についての評価にしてはシンプルにして曖昧すぎる気がします。プロジェクト発足後1年の時点での中間評価なら「重要な貢献をする可能性がある」という曖昧さも仕方ないかなと思いますが、最終段階でこれでは高い評価とは言えないでしょう。もし本当に実績をあげてきたと思うのであれば、「貢献をする可能性がある」という評価は不当に低いものだと感じるはずです。

 鯨類研究所によれば和文、欧文ひっくるめて100報前後のピアレビューを経た論文があるようですが、専門家から見てこれなのだから

A 1997 IWC review of Japan’s scientific whaling reported that the research conducted failed to meet its stated objectives and that the data derived were “not required for management”. Even today, the programme’s publication record is very poor for an 18-year research endeavour of this size. Very few peer-reviewed papers have come from the Japanese programme, none has been published in the IWC’s management-focused Journal of Cetacean Research and Management, and only one (on stock structure) is relevant to the scientific parameters used for species management.


Gales et al., Nature 435: 883-884 (2005)より抜粋
私がいまだに調査捕鯨のマスターピースと言える論文を発見できないのも当然でしょう。科学調査目的で大量のクジラを捕殺する必要性さえ理解できれば私はいままでの論考を全てリトラクトしますよ(絶滅危惧種を研究するためには非致死性調査が第一である以上、研究目的でのクジラの大量捕殺の必要性など無いことを確信しているが)。

 20年近く労力を費やしてメインでやってきた仕事が「重要な貢献をする可能性がある」で片付けられているのであれば、普通の会社では責任者の首が飛ぶレベルの失敗プロジェクトと見なされるんじゃないでしょうかね。その前に少なくとも、途中で計画の変更とかをして損害をおさえようとするでしょう。そういうことをやらずに済み、なおかつこのような曖昧な評価に満足できるのが官僚さんと呼ばれる人種なんですね。彼らのお仕事は現状維持 ー前任者から受け継いだものを出来るだけ形を変えずに後任に受け渡すー ですから、20年もの間莫大な予算をつぎ込みながら何の進展もなかったなんてのは奇跡に近い大成功なのです(官僚さんたちにとっては)。

 5人組のナントカセンタイ相手に毎週一人怪人を差し向けては作戦変更も戦略的撤退もせず、ずるずると毎週個別撃破され、敗戦からなにも学ばない団体を子供の頃に数多く見てきましたが、この手の団体は大抵最後にはつぶれます。

 なんというかね、忸怩たる思いというか慚愧の念にたえないというか。「反捕鯨派は非科学的」とか「捕鯨は日本の伝統文化」とかのヨタ話を鵜呑みにして自分の頭で考えてこなかった間に数千のクジラが科学の名のもとに空しく殺されたということと、日本の鯨類科学の健全さが失われたということを考えると痛惜の念にたえないわけですよ。生物学者の端くれとしては。それがここまで執念深く「調査」捕鯨を攻撃し続ける理由です。念を押しますが、クジラを食うこと自体には文句は言いませんよ。
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