3500-13-12-2-1

ツーリングの記録等に使おうと思っていたが。。。タイトルは最初の記事の3500km, 13日, 12ヶ国, 自動二輪, 空冷単気筒の意。

青い裸の鳥の王様

その1 グラフの見方について
 下の図は北大西洋での漁獲と海獣による魚介類消費を1950年代と1990年代で比較したものである。この図から何が読み取れるか?
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ア 海獣類は1950年代には人間による漁獲の約7倍を消費しており、1990年代には漁獲の約3倍を消費している

イ 海獣類の魚介類消費は減少している一方で、人間による漁獲は増加している

ウ 海獣類の減少が漁獲の増加に貢献している

エ 漁獲が増加したのは漁法や漁具の改良によるところが大きく、海獣類は人間の漁獲に影響していない

オ 海獣類は乱獲などにより生息数を減らしたため魚介消費量は減少したのに対し、冷凍技術や輸送技術などの発達により内陸国でも海産物が消費されるようになったため、人類の魚介消費量は増加した

 アとイは図から読み取れる事実だが、ウ、エ、オは図が直接示す事実ではなく推論にすぎない。この棒グラフをいくら眺めても、人間と海獣が魚介類をめぐってどのような競争関係にあるかは不明なままなのだ。競合関係を明らかにしようと思うなら、別のデータ(例えば漁場と海獣の分布地図など)が必要になる。この辺がわかれば棒グラフだけ示して競合を論じることのトンチキさはおわかりいただけると思う。
20-01umi.jpg

出典
Kaschner et al.,Modeling and mapping trophic overlap between marine mammals and commercial fisheries in the North Atlantic (2001)
日本捕鯨協会のパンフレット「海が壊れる」

その2 シロナガスクジラ回復法について
http://www.e-kujira.or.jp/geiron/ohsumi/1/#c1
質問

 南極海で…ミンククジラを間引かない限りシロナガスクジラの回復は保証されない。

 とありますが,どのぐらいのミンククジラを間引くと効果がありますか?また,シロナガスクジラが回復すべき適正水準とはどのぐらいでしょうか?


回答


しかしながら,依然としてクロミンククジラの資源量は南極海捕鯨が開始された時点に比して,はるかに高い水準を保っていることは確かです。その一方では,シロナガスクジラの資源水準は南極海捕鯨が開始された時代よりもはるかに低い水準に依然としてあります。つまり,現在の南極海の鯨類生態系は捕鯨の後遺症がいまだに残っている状態にあることは否定できません。
 アンバランスな文明の発達によって,世界の人口が現在のように爆発的に増え過ぎてしまった現在では,自然の生態系を,人間が全く関与しないで放置しておくことは許されません。増してや,南極海は世界の鯨類の宝庫であり,南極海を人類は積極的に利用し,“里海”として管理するべきです。

 人間が変化させた自然環境は,人間によって修復させる義務があると考えます。その一環として,小生が以前から主張しているように,シロナガスクジラ資源の回復のためにも,増え過ぎているクロミンククジラを対象とする捕鯨は早急に再開するべきです。


 これが鯨類研究所の正式回答とみなしてよかろう。何頭いるかもよくわかっていないクロミンククジラをとにかく間引け、そうすればシロナガスクジラが増えると言っているのだ。質問に数字を挙げて回答できていないということは、この「学説」が発表されて以来10年以上、シミュレーションすらやられていないことを示している。比較のため、米国海洋大気圏局が策定したシロナガスクジラ回復計画(Reeves et al., 1998)を抜粋しよう。

RECOVERY PLAN FOR THE BLUE WHALE (BALAENOPTERA MUSCULUS)
The key recommended actions of the proposed recovery program for the blue whale are to: (1) determine population structure of blue whales, (2) estimate population size and monitor trends in abundance, (3) identify and protect essential habitats, (4) minimize or eliminate human-caused injury and mortality, (5) coordinate state, federal, and international actions to implement recovery efforts, (6) determine and minimize any detrimental effects of directed vessel1 and aircraft interactions, and (7) maximize efforts to acquire scientific information from dead, stranded, and entangled animals. Criteria for delisting or downlisting recovering blue whale populations do not exist and developing them is one of the recommended actions.


 科学は魔法ではない。そもそもクジラは入念な事前調査の後に商業利用されたわけではなく、よく研究されないままなし崩し的に乱獲されたため、乱獲以前がどういう状態だったのかすらよくわかっていないのだ。鯨類研究所と海洋大気圏局のどちらが科学なのかは明白である。

その3 クジラは欠かせない食文化なのか
http://www.shokuikuclub.jp/contents/talk4.html
 服部先生にしろ小泉先生にしろ、ウンザリするほどクジラを食った世代の人はそれが普通だと思っているのだろうが、それは日本の伝統から見て異常に高い消費量なのだ。鯨肉の消費量は1960年代がピークである。
http://www.whalelove.org/whales/facts/fact3

 仮に1億人が一人年間1kgの鯨肉を消費すると仮定すると、一年に少なくとも1000BWUのクジラが必要になる。これでは現在いるシロナガスクジラを一年で絶滅させることになる。ミンククジラなら年間2万頭必要になるが、これも種の存続を脅かすには充分な捕獲頭数になる。戦後の鯨肉大量消費の方が異常なのであり、もともと日本人はそんなに大量の鯨肉を消費していたわけじゃないのだよ。

JUN MORIKAWA: I agree that there was a kind of whale-meat eating culture, but pretty much localised. It cannot be said it's a national culture.
http://www.abc.net.au/worldtoday/content/2005/s1417684.htm



その他 正しいように見えて間違っている意見というものがある
http://jp.youtube.com/watch?v=JBvdwTQDxHo
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「考えてもみて欲しい」
「捕鯨を続けたい国が種の絶滅を望むだろうか?」
「そんなはずがない!」

 よく考えたつもりなのだろうが、思慮が足りていない。

ウィキペディアより抜粋

+ニホンアシカ
衰退・絶滅の主な原因は、クジラと同様、魚を捕食するために駆除されたことと、皮と脂をとるために乱獲を受けたことである。

+ステラーカイギュウ
乱獲によって絶滅したことは疑いようがないが、発見当初から個体数が少なかったのは、当時、毛皮獣であるラッコの乱獲によりウニが大繁殖した結果、コンブをはじめとする近海の海藻類が枯渇していたためではないかとの説もある。

+カリブモンクアザラシ
16世紀以降、脂肪から油を取るための乱獲や、漁業関係者による駆除、観光開発による陸上での生息地の減少などにより数が大きく減少した。

+トキ 
肉や羽根を取る目的で乱獲された

+リョコウバト
鳥類史上最も多くの数がいたと言われたが、人間の乱獲によって20世紀初頭に絶滅した。

+オオウミガラス
大規模な乱獲により、数百万羽いたとされるオオウミガラスがたちまち数を減らすことになる。


 これらの動物の絶滅は関与する人間が望んだものだとでもいうのか。そもそもマグロやカニなど一般に好まれる魚介類は乱獲の傾向にある。知識のなさ、考えの浅さは捕鯨が自滅する要因である。

=-=-=-=-=-=
 当初、捕鯨について外人に変な難癖をつけられている程度の認識しかなかった私(今年になるまで南極で捕鯨をしているということすら知らなかった)は、はじめて真剣に議論を見たとき、捕鯨賛成・推進派と反対・抑制・慎重派のどちらが正しいのかさっぱりわからなかった(どちらにも理があるように見えた)。職業上の強みを利用して論文をあさってみた(つまり判断を専門家に委ねた)ところ、捕鯨推進の頭脳たる鯨類研究所の異常さがわかり、そのあと鯨類研究所のパンフレットを丹念に読んでみると、聡明な人間なら知識がなくてもそのおかしさを指摘できることがわかった。疑似科学の青い鳥はそこにいたのだ。

 実のところ、調査捕鯨の成果が鯨類学者の多数派に認められていないだけならまだ土俵際に踏みとどまっている可能性はあった。つまり、現在の鯨類学は生物学的側面を重視しているのに対し、日本のアプローチは水産学よりなのでその意義が理解されにくいという説明は苦しいながらも可能だった。その可能性を打ち消したのは上に挙げた前半二つの、他ならぬ鯨類研究所自身による疑似科学的主張である。生物学だろうが水産学だろうが科学であるならば疑似科学とは相容れない。土俵を踏み外したと言うべきか、最初から土俵の中にはいなかったと言うべきかはわからないが、反捕鯨派が寄り切ったとか押し出したとかではなく、鯨類研究所の独り相撲、決まり手は「自滅」である。政治的な制約を受けない子供のような身だからこそ言えるのかもしれないが、『「感情的」で「非論理的」な反捕鯨派には理解できない科学の衣をまとっていると自称する捕鯨は、実は裸の王様なのだよ』。

 ベルンの噴水「正義の女神」が目隠しをしているのは、先入観でものを見るなという戒めだとか。
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