3500-13-12-2-1

ツーリングの記録等に使おうと思っていたが。。。タイトルは最初の記事の3500km, 13日, 12ヶ国, 自動二輪, 空冷単気筒の意。

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R is for Rachel (5/5)

レはレイチェルのレ 最終話 エピローグ 

罪はずいぶん庇い立てされるが、無実のほうはそんな庇護を見出せるどころではない世の中である。 ラ・ロシュフコー


前回までのまとめ
 第1話、第2話ではマラリアがどう論じられているかを概観しました。南アフリカのKwaZulu-Natalで起きた90年代のマラリア流行は、DDTを合成ピレスロイドに置き換えたところピレスロイド耐性蚊が発生し、DDTの再使用で制圧されたというものでした。この流行の原因と考えられる可能性は多数ありますが、専門家はこの件を大まかにはピレスロイド耐性蚊の発生による流行とまとめています。

 マラリアの背景は非常に複雑で不均一なので、どの対処法がどの程度有効かは状況に依存します。DDT室内噴霧は広く知られた有効な手段ですが、いついかなる場合でも有効という保証はありませんし、これがもっとも有効であるという証明もありません。流行の原因を詳しく理解しないまま何かするのはむしろ有害となる可能性すらあります。そして、各種マラリア対策を適切に管理運用できる体制やそれを支える予算の拡充が求められています。またDDTの環境や健康への影響はないとは言い切れないので、使用する際には注意深いモニターが必要です。

ところがその後、DDT禁止には大きな問題があることが判明しました。
マラリア感染が発展途上国を中心に増えてしまったのです。
http://www.mizuho-s.com/kenkou/kenkou137.html


 本当にマラリア対策を理解しているなら、上のようなマラリア流行の原因をDDT禁止に求める一般化が不適切で、カーソンに言及する必然性もないことがわかります。

 第4話では専門家による「沈黙の春」の評価を紹介しました。カーソンの指摘した問題は今なお重要な意味を持っています。そして科学的な確実さのない状況でよりましな選択をするための知恵も蓄えられつつあります。

 第3話を手短に3行でまとめるとこうなります。
薄っぺらな理科の知識に安住して
自分で勉強する手間を惜しむ奴は
未来永劫うんこに転生し続けろ。

 カーソンの伝記作者であるLinda Learは、「Silent Spring」に寄せたあとがきの中で、マルクス「資本論」やダーウィン「種の起原」などと一緒に「沈黙の春」を並べて、歴史を変えた書物としています。ダーウィンによって広く知られるようになった進化という考えは生物学にとどまらず社会にも大きな影響を与えました。中には進化論を人種差別政策の理論的支柱に据える動きもありましたが、それをもってダーウィンの価値をおとしめる意見はごくまれですし、そういうのはそもそも相手にされていません。また、進化についての通俗的誤解も多く存在しますが、誤解を招くからダーウィンは進化論など唱えるべきではなかったという主張も見たことがありません。内容が正確に理解されないまま議論が社会の中に広がっていく点、「沈黙の春」も「資本論」や「種の起原」と同じようなものでしょう。

 今思い出しているのは、「ピーボディ先生のりんご」という絵本です。物語の最後、ピーボディ先生は「大切なのは、どう見えたかじゃなく、本当はどうか、なんだよ」と少年に語りかけます。ピーボディ先生がカーソン、少年が不祥(不肖ではない)ワタクシ、そして散らばった羽根こそが『「沈黙の春」のせいでマラリア蔓延』というウソなのです。「ジュラシックパーク」で制御出来なくなった恐竜が繁殖したように、ウソも増殖します。これに比べればDDTをバラまいたことなどまだマシです。撒いた以上に増えることなどないのだから。

 Carson correctly feared the results of an unimpeded technology that initiates an action before fully knowing the consequences, and a culture that demands a quick fix for every problem. Such attitudes, she recognized, were formidable opponents to the cultivation of a sense of wonder and a reverence for the complex of intricate ecological relationships of the living world. In Silent Spring Carson gave these cultural qualities a historical context, protested their effects, warned against complacency, and offered a new ethic and a practical sort of hope. Hers is a message that we in the twenty-first century must find the courage to heed.
Linda Lear



意訳
 カーソンは、結果的影響を熟知する前に活動を始めてしまう規制なき技術の帰結と、全ての問題に素早い解決を求める文化を正しくおそれた。彼女は、そのような態度が、センスオブワンダーの涵養と生命世界の複雑な生態関係の複合体への敬愛にとって恐るべき敵であることを認識していた。「沈黙の春」の中でカーソンはこれらの文化的性質に歴史的文脈を与え、これらの影響に抗い、ひとりよがりな考えに警告を発し、新しい倫理と実践的希望を提唱した。本書は、21世紀の我々は心に留めておくべき勇気を見つけなければならないという、メッセージである。
リンダリアによるSilent Springのあとがき ISBN 9780141184944

 そしてまたウソが増えていく。こういうウソを根絶するDDTみたいな魔法の薬はないもんか(毒。
https://twitter.com/sochi1024/status/91645192880402433
https://twitter.com/basizm/status/385004613729931265
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1090826265

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