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ツーリングの記録等に使おうと思っていたが。。。タイトルは最初の記事の3500km, 13日, 12ヶ国, 自動二輪, 空冷単気筒の意。

捕鯨と原発

 そのうち難民が北朝鮮から押し寄せてくると思っていたら、それより前に国内で被災者が大発生しました。ロシアでは領土帰属問題でもめている島々を日本に返してやろうという意見が出たとか、移民局がシベリア辺りへの就労ビザ発給に積極的とか。なんだか攻殻機動隊の世界みたいになってきました。首都も福岡に移転すればますます面白くなりそうです。それにしても被災者が新しい生活をはじめられるようになるまでどのくらい時間がかかるのでしょうか。住居はなんとかするにしても、仕事を提供出来る余裕が今の日本にあるとは思えないんですが。かつて日本は満州やブラジルに移民を送り出しましたが、その運命は過酷だったようです。もしも今後日本政府が海外移住を推奨するとしたら、それは間違いなく食い扶持を減らすための棄民政策でしょう。

 ずっと捕鯨問題を追っているジャーナリストの佐久間淳子さんが今回の原発事故発生と同時に放射線量測定を始めたのにはびっくりしました(http://twitter.com/#!/shimanomusume)。なんというフットワークの軽さかと感嘆しましたが、前々からアンテナを張っていないとここまで素早くは対応出来ません。つまり彼女は以前から原発にも興味があったのでしょう。この二つの問題には何となく似通ったところがあります。捕鯨批判に対して、「だったら命ある物を一切食うな」という反論はさんざん見ましたが、原発批判に対しても「だったら電気を一切使うな」という反論があります。

 日本の捕鯨がなぜ非難されるのかは、歴史的経緯を知るなりネイチャーやサイエンスを読むなりすれば理解出来るものですが、「大本営発表」とも揶揄される水産庁発の国内報道だけを見ていたのではなかなか理解出来ません。捕鯨産業が消滅したからこそクジラの生態を正確に把握するという意識が出来たわけで、もし仮に各国の捕鯨産業が存続していれば誰も乱獲を止める事は出来ず、クジラは絶滅していたでしょう。このように、科学とは経済活動の一種に他ならず、産業や政治などの社会的要請に従う程度のものです。スティーブン・グールドも端的に述べている通り、人種差別が当たり前の社会ではその差別を支える科学的根拠を探すのが科学者の任務です(あるいは結果的にそのような根拠がない事を発見するかもしれません)。原発は今現在各国で利用されているものであり、そこでの産官学のもたれ合いを指摘する声もあります。産官学のもたれ合いは往事の捕鯨でもあったことです。

 参考
 : 未曾有の震災が暴いた未曾有の「原発無責任体制」 http://www.fsight.jp/article/10319
 : 河野太郎氏は国策に対するマスコミの甘さを指摘。http://www.taro.org/2008/06/saishori1.php
 : 原子力監督機関と電力会社は一心同体 http://jp.wsj.com/Japan/node_211377
 : 鯨類資源管理理論に関するコメント http://3500131221.blog120.fc2.com/blog-entry-88.html

 捕鯨における新管理方式の挫折と改訂管理方式への転換は今後原発をどうするかという議論の参考になるかもしれません。捕鯨管理議論の経緯を概観すると以下のようになります。クジラの生態の知識に基づく捕鯨管理を目指した新管理方式は「生物学的事実」を巡って賛成派と反対派で合意形成に至らず頓挫しました。それを受けて、生態的に未解明の部分が多くあるクジラを利用し続ける方式には何が必要か、と問題を設定し直して両派が合意に至ったのが改訂管理方式です。これを鑑みれば、原発が安全か危険かという問題設定は合意形成に至らないであろう事は容易く察しがつきます。どのような問題設定が妥当なのかは私は知りませんが、相手を負かすよりも今後のエネルギー需給をどう調整して行くかの議論が重要でしょう。

 そもそも疑うべきは、エネルギーが足りないから原発が必要だという前提でしょうか。捕鯨や遺伝子組替え作物が食糧生産の文脈で論じられる事もありますが、飢餓や貧困は生産に問題があるのではなく、分配に問題があるという可能性もあります。事実、食糧生産は平年並みであったにも関わらず、分配の不均衡によって1973-74年のエチオピア飢餓がもたらされた事がアマルティア・センにより明らかにされています。日本は食糧自給率が低い、というのを前提とした議論がありますが、これに疑問を呈する研究もあります。ロイターの伝えた所によると原発の分はとりあえず火力発電だけでまかなえるようですが、しかし、いつまでも化石燃料に依存は出来ないでしょう。

 参考
 : 「 日本の「食料自給率」指標の問題点」 日本国際経済学会第68回全国大会 報告論文 渡邉・下田・藤川 2009
 : 日本、原子力発電不足分補う石油火力発電の余剰ある=IEA http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-20049520110315
 : 洋上風力で発電大国を目指す英国 http://tinyurl.com/65gmhfb

 ああ、あと一つ。水産庁大本営発表によるとシーシェパードの妨害のせいで調査捕鯨を中止したということですが、佐久間淳子さんの調査によれば、シーシェパードの妨害活動が捕獲数に影響しているとは言えないそうです。大して売れるわけでもない鯨肉の在庫をこれ以上抱えたくないのが本音でしょう。クジラが魚を食い尽くすとか、ミンククジラがシロナガスクジラの個体数回復を妨げているというデマをもって、捕鯨反対派を攻撃するのもいます。今回の原発トラブルを反対派のせいにする手合いがいるように。しかしながら、原発反対運動のせいで安全対策が後手に回ったという説明は政府も電力会社もしていないようです。

 参考
 :「南極海調査捕鯨へのシー・シェパードの妨害活動と調査打ち切りに関する分析とコメント」大久保彩子
 : 日本の規制当局、原子炉のぜい弱性を軽視 http://jp.wsj.com/Japan/node_207949

 今回の震災に際してスティーブ・ハウがメッセージを寄せてくれましたが、彼の曲にBlinded by scienceというのがあるのは何とも皮肉な事です。私も今後は科学者の言う事を一切信用しないことにしました。
http://www.udo.co.jp/PrayForJapan/index.html#SteveHowe
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