3500-13-12-2-1

ツーリングの記録等に使おうと思っていたが。。。タイトルは最初の記事の3500km, 13日, 12ヶ国, 自動二輪, 空冷単気筒の意。

クジラ肉はどの程度危険なのか

スティッキーズに書いたままだったメモより。「ザ・コーヴ」も話題になってますねぇ。

<メチル水銀>
 フェロー諸島や太地などの鯨肉消費地では住民に水銀の蓄積がみられるという報告/報道はあります。たとえば

High mercury levels in hair samples from residents of Taiji, a Japanese whaling town
Endo & Haraguchi, Marine Pollution Bulletin 60: 743-747 (2010)

など。

 フェロー諸島での調査では水銀の蓄積と動脈硬化に相関関係があったと報告されていますが、因果関係は依然として不明なわけです(クジラの肉を好む人は肉料理一般も好むので心臓血管系の疾患にかかりやすいというだけのことかもしれない)。

Methylmercury Exposure and Adverse Cardiovascular Effects in Faroese Whaling Men
Choi et al., Environmental Health Perspectives 117: 367-372 (2009)

 特に内臓は汚染が蓄積しやすいらしい。

Renal Toxicity in Rats After Oral Administration of Mercury-Contaminated Boiled Whale Livers Marketed for Human Consumption
Endo et al., Arch. Environ. Contam. Toxicol. 44: 412–416 (2003)

 セレンが水銀をどうのこうのという話も見かけたので調べてみたところ、下のサイトが見つかりました。
http://fishscam.com/fselenium.cfm
 マグロなんかはセレンの比率が高いので問題無いが、クジラ・イルカはそうではないという話です。

<ブルセラ菌>
 すでにドイツ語好きの化学者さんが記事にしていました。

水銀やPCBで汚染された鯨肉で健康リスクが高まる
http://blogs.yahoo.co.jp/marburg_aromatics_chem/61600977.html (リンク切れ?)

ところで化学者さんのところのコメント欄。ブルセラ症の可能性については個人のブログだけでなく、

It’s not just poor science – Japan’s ‘‘scientific’’ whaling may be a human health risk too
Parsons et al., Marine Pollution Bulletin 52: 1118–1120 (2006)

という公共性の高い記事でも指摘されています。クジラからヒトへの感染例はないと断り書きした上で、次のようにコメントされています。

The Japanese ‘‘scientific’’ whaling programme has produced very few peer-reviewed articles (Gales et al., 2005), so it is ironic when data published in one of these articles are overlooked, or perhaps wilfully ignored, by the Japanese government.

 "overlooked, or perhaps wilfully ignored"とされている論文はこれでしょう。

Pathological and serological evidence of Brucella-infection in baleen whales (Mysticeti) in the western North Pacific
Ohishi et al., Comparative Immunology, Microbiology and Infectious Diseases 26: 125–136 (2003).

 専門誌に掲載された意見については表立った抗議をしない(出来ない?)わりに、私的なブログ記事には難癖つけにくるあたりが捕鯨推進派の限界のようです。

<ドウモイ酸>
クジラの死体は食えますか ~ EP:科学に佇む心と身体
http://ep.blog12.fc2.com/blog-entry-108.html

アメリカ海洋大気庁、DDTとドウモイ酸への曝露がてんかん発作の増加に寄与することを解明
http://ecotech.nies.go.jp/fnews/detail.php?i=1904

 いまのところ鯨肉から直接人間がドウモイ酸中毒を起こしたことはないようですが、食物連鎖を通じて高次消費者に蓄積する毒は変動することが知られています。昨日まで普通に食用になっていた貝が一晩のうちに毒化された例などもありますので、常にモニターは必要でしょう。ところでこのドウモイ酸、クジラやイルカの行動にも影響を与えるのではないでしょうか。クジラやイルカの集団座礁がなぜ起こるのかについては、(日本国内限定で)クジラが増えすぎたからというのが唯一の科学的な答えとされているようですが。

<まとめ>
 どんな食物にもリスクはつきものです。色々みてみましたが、(未知の部分があるとはいえ)私にはイルカやクジラがことさらに危険な食品とは思えません。「汚染が健康被害を起こす可能性があるから食べるべきでない」というのは捕鯨反対の主な理由にはならないでしょう。そもそも鯨肉食は地域限定的なものなので、食べていない大半の人には関係ありません。マクドナルドやスターバックスの方が環境へも人体へも悪影響は大きいと思います。総じて、鯨肉食は喫煙ほどには害はないと言えましょう。鯨肉消費地での継続的モニタリングによりもう少しはっきりした結論が得られると思いますが、この調査に人間の捕殺は必要ありません。
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テーマ:捕鯨・反捕鯨問題 - ジャンル:政治・経済

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